2007年11月16日金曜日

エコビレッジ訪問記ドイツ2

たまたま今日の夕食はエリカが当番だというので、私も手伝うことにした。ここでは住民が当番で食事をつくり、毎日3食をともにしている。夫は住居建設に忙しく、幼い2人の子どもの世話や食事当番はもっぱら彼女の役目のようだ。二人で野菜を刻みながら、エリカがコミュニティの仕組みについて話してくれた。
ここで居住を希望する人は、1年間の試行期間を経て全員の話し合いで決定される。住居人を決定する基準は明確ではないが、今後は必要だと考えているという。正式住民になると住居があてがわれ、織の運営全般に関わる権利と義務を有する。一定金額(約200万円)の保証金(退去時に返還される)をおさめるか、毎月生活費をおさめる方法がとられている。

住人の中にはプロジェクトごとに賃金を貰う人もいるが、いずれも短期的なものだ。アクセサリーや木工品を販売したり、外部で講師をしたり、それぞれパートタイムで収入を得ている。彼女も夫も元は医師なので、ときどき病院のアルバイトを探すという。

100人という人数は多いのでは、という質問にエリカは次のように答えている。
「全員で話し合うことを前提とすると、確かに100人は限界に近いかもね。でも、最終的には
300人まで住めるコミュニティを目指しているの。将来ここに住みたいという希望者も常にいるのよ。でも、今は住宅環境が整ってないし、さらに建物を建てるとなると、また自治体と協議しなくちゃいけないしね。今のところ、行政ともいい関係を保っているから、しばらくは拡大計画はないんじゃないかな」

100人(大人70人)全員で話し合うというのは想像以上に大変なことだろう。しかも、彼らはリーダーや役員、専門家は必要ないと考えている。住民メンバーのもつ様々な知識を活用し、それぞれが主体的に参加し責任をもつことが重要だと信じているからだ。

その代わり、徹底した民主的意思決定システムが取り入れられている。重要な課題については、最初にトーキングスティックを用いてできるだけたくさんの意見を引き出す。すべての意見が表明されたところで、次は小さなグループを作って極端な意見も含めて話し合い、その中での合意形成を図った上で、再度全体で話し合うようにしているという。他にも話し合いに関するいくつかの興味深いルールがある。

「提案を否決する人は代替案の模索に協力しなければならない。否決は話し合いの最終形ではなく新しいプロセスの始まりである」「明らかな必要性がない場合は何も決定しない」「平和的合意の秘訣は一人一人あるいは共同のプロジェクトを通じて、それぞれが自分自身を表現する場を持つこと。もし全員がそういう自由を持っていれば、たとえ他の人が自分とは明らかに異なる意見を持っていても尊重できる。」「平和的なコミュニケーション重要なのは、実務的な問題と感情的な問題を分けて扱うこと」などだ。

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