2007年11月16日金曜日

改めてエコビレッジとは何か


ヨーロッパではエコ・ビレッジと呼ばれる環境共生型コミュニティが、この10年くらいで続々と(というほどでもない?)増えている。

といっても このエコ・ビレッジ、決して真新しいものではない。歴史を遡ると60年代に起こった環境・平和ムーブメントの中で、非合法的に集団生活を始めたコミュニ ティが発祥。時代とともに変遷する中で、現代のさまざまな社会問題に対応して一種の社会のあり方を実践的に提示したと認知されつつある。最近では都市計画 や建築などの専門家にもかなり注目されている。

「人と環境にやさしいライフスタイル」なんて言うと、まるで手垢のついた下手 な行政スローガンのようだが、当時、俗にヒッピーと呼ばれる若者が目指したものは簡単に言うとそういうことだろう。過度に都市化した非人間的な社会を批判 し、エコロジカルな生活を目指してキャラバンや、古い農家を改築して共同生活を始めた時代は革命的な発想だったに違いない。その頃は、自治体関係者はもち ろん地域住民からも白い目で見られたとみな口をそろえて言う。彼らのコミュニティ運動はヨーロッパ各地で同時多発的に起こり、運営面、技 術面で失敗も多かったが、現代社会のニーズに対していくつかの現実的な解決策を示した。ドラッグなどの問題を抱えて分裂したり消滅したものも少なくない が、そのうちのいくつかは今も形を変えて発展・存続している。
た とえばスコットランドのフィンドホーンは国連とも提携しているNGOで、国連住居センターから最優良事例に選ばれている。また、現在わたしが住んでいる ウェールズでは、今まさに英国初の都市計画エコビレッジが誕生しようとしている。地方の過疎や住宅問題を背景に、エコビレッジが環境問題を解決しつつ、地 域の活性化にも寄与すると考えた地方自治体が、従来の開発行為基準を改正しようとしているのだ。

日本でも、環境問 題解決に向けたテクノロジー開発や法制度の整備は着実に進んでいる。しかし、それぞれの活動体や他分野とのつながりがないため現実的に効果を発揮できない ことが多い。環境にしても福祉にしても単体の問題として扱っているうちはなかなか解決にたどり着かない。自然保護だけではサスティナブルな街はつくれな い。

それらの課題に包括的に取り組む手法はないものかと考えていたときに、エコ・ビレッジに出会った。
このレポートは2006年秋から1年かけてヨーロッパ各地(フィンランド、フランス、ドイツ、英国)のエコビレッジを訪問・滞在した旅の記録である。

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