2007年11月16日金曜日

エコビレッジ訪問記フィンランド2

ここには4人のシングルマザーがいる。その一人ヤーナが親切にも彼女の家にお茶に招いてくれた。彼女は10歳の子どもと二人暮らし。ここに来る前にイタリアとカナダのエコビレッジに住んだことがある。

「エコビレッジの運営でもっとも大切な価値観は、環境に対する意識があること。あらゆる暴力を否定すること。住民一人ひとりが合意形成に参加し、本音で話し主体的に動くこと」とヤーナ。

過 去に、住民間の意思疎通が悪くなって運営がうまくいかなくなったとき、アメリカインディアンのコミュニケーションに学ぶセミナーを開催したという。フィン ランド人は概して引っ込み思案で自己主張をあまりしないので、自分の意見や感情を率直に表現する訓練が必要だ、というヤーナの話を聞いて、まるで日本人の ようだなと思った。

午後のミーティングにはビジターの私も招かれ、自己紹介をする機会を与えられた。日本での環境に対する取り組み、子育て、食べもののことなど質問され、ひとしきり会話をした後、フィンランド語で本格的な会議が始まったので、中座して外を歩くことにした。

リ タが案内役をしてくれると申し出てくれた。彼女は60歳。「会議ばかりで嫌になることもあるわ。わたしは野菜を作ったり、サウナで泳ぐのが好きなの」なる ほど、会議をサボりたいのが本音だったのかも。畑を横切り湖の辺のサウナへ。裸になって並んで話をする。中は薄暗いが、外からの日差しと湖の水のきらめき がまぶしい。彼女は若いときからエコビレッジに住むのが夢だったが、家族の同意が得られず実現できなかったと話してくれた。子どもも独立し、年金生活に なったので、再び夢の生活をしてみたいと思い、今は夏を中心にここに住み、週に1回夫のいる家に帰っているという。翌 日は、わたしも料理や畑作業を手伝った。農学部の大学生が長期でボランティアに来ており、作業の要領を教えてくれた。シュタイナー・スクールの高校生も研 修に来ている。「こういうコミュニティに住んでみたいか」と質問すると、「今は親と同居してるから現実的 じゃないけど、いつか住んでみたい。子どもがいたらこういうところはすごくいいと思う」「この夏はずっと畑作業をしてたの。料理はあまり好きじゃないけ ど、少しは覚えたわ」

フィンランドのような自然環境に恵まれた人口の少ないところで、エコビレッジなんてわざわざ作る必要があるのだろうか。初めはそんな疑問も抱いていたが、シングルマザーの支援や若者の社会訓練、子育てなど集まって住むことの社会福祉的な効果は計り知れない。

それにしても、こんなところで生活できたらさぞかし豊かな暮らしができるだろうな、今日もリタとサウナに行こう。裸で湖で泳ぐのがやめられなくなりそうだ。

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