2007年11月19日月曜日

エコビレッジ訪問記 ウェールズ2

翌日はポールとクリスとともに燃料用の薪を切り出しに森に出かける。重い丸太を運んだり整理したりする作業で、かなりの重労働だ。でも天気のいい森の中で汗をかくのは気持ちがいい。終るころにはへとへとに疲れていたが、もっとやってもいいかなという気持ちになっている。

ポールの話では、初代カップルは離婚しコミュニティの活動からも遠ざかっているが、今でも親交はあり、そのひとりエマは隣りの敷地に住んでいるという。「エマの家を訪ねてみるといいよ。今日はその辺にいるはずだから」と言わ
れ、わくわくしながら彼女の家を訪問した。家というより緑に埋もれた小屋という感じだ。

エマは想像していたとおりカリスマ的な雰囲気をもつ、バリバリヒッピー風の女性だった。彼女はちょうど畑の準備をしているところだったが、親切に作業の手を休めて家を見せてくれた。
「わたしは環境教条主義だからね、電気なんてものには反対なのよ。できるだけシンプルに住みたいの。この家なんて1週間くらいでできちゃったのよ。材料はみんな自然に手にはいるしお金はほとんどかかってないわ。高いローン組んで、家の返済に追われてあくせく仕事するなんて馬鹿げてるわね」

後半部分には賛同するが、電気はあったほうがいいと思うわたし。トイレも見当たらなかったが、冬でも外でするんだろうか。風呂やシャワーなんて当然ないわけだ。

「便利な道具は、時間がない人間にとっては頼らざるを得ないものだけど、こういうところで彼女みたいな暮らをしていたら、身体を洗うのに3時間かけてもいいんだろうな。」とクリス。確かに、ものがなくても時間さえかければ何とかなることもたくさんあるのだろう。自然にならい、時間をかけて工夫するプロセスにいろんな発見や楽しみがある、エコビレッジの本質的な部分かもしれない。

ブリスディア・メアを訪問してから数ヶ月後の2007年7月、ラウンドハウスの建築許可申請が再度否認された。「生物多様性や樹林環境に悪影響を与える」という理由だった。その模様は国内の有力紙やラジオ、テレビなどでも報道されている。メディアの反応はおおむねトニーに好意的であるが、その後の行方はわからない。

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