2007年11月16日金曜日

エコビレッジ訪問記フィンランド1


首都ヘルシンキから北に約300キロ。ケウルー・エコビレッジは森と湖の国を文字通りあらわしたような水と緑に包まれたコミュニティだった。駅まで車で迎えに来てくれたセイヤーは創設者の一人と名乗り、車の中で簡単に活動の概略を話してくれた。

こ こは1997年にスタートしたフィンランド最初のエコビレッジ。現在は子どもを含めて30人の住人がいる。土地52haと大小30棟の建物は、かつては刑 務所、その後アル中毒患者や難民の収容所として使われていた。3人の創設者が、組合方式で銀行から融資を受けて買い取ったという。

夏 には多くの研修生や宿泊客がいるらしいが、この週はわたしの他にビジターはいなかった。秋の冷え冷えとした空のせいか、この敷地の広さに寂しささえ覚え る。荷物を降ろすやいなや、早速ダイニングに通されランチをいただくことになった。住民と長期滞在ボランティアらが、ここで1日2回食事をともにしてい る。

有機栽培食品、ベジタリアンが基本。畑で野菜も栽培しているが、冬期間は外から買っているとのこと。この日は特別に魚の入ったスープ が出た。今日の料理人はなかなかの腕前らしい。この国に来てから1週間、正直言って食事には満足していなかったが、ここではおいしい家庭料理にありつけそ うだ。思わず2杯目に手が出る。

食事をしながら、セイヤーがここの仕組みについて話をしてくれた。 
住民は1日4時間の労働をコミュニティのために行なうこと、週に1度の全員ミーティングに参加することが基本的なルール。料理や掃除、会計など、コミュニティに必要な労働をリスト化してその中から自分にできるもの、やりたいものを選ぶ仕組みになっている。

住民の家賃とビジターの宿泊費が組合の主な収入だ。建物の維持管理などで消えてしまい、住民の労働に報酬を払うまでには至っていない。みな在宅のアルバイトをしたり、町で不定期に働いて生計をたてている。年金やひとり親家庭手当てなど、公的扶助に頼っている人も少なくない。

「ここに住みたい人は誰でも住めるのか」と質問してみた。新しい住民の希望があったときは、まず2日間、そして2ヶ月、最終的に6ヶ月の期間を経て、コミュニティにふさわしいメンバーかどうかを全員で判断するという答えだった。
ふーむ。ここの住人になるのもなかなか厳しいらしい。

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