2007年11月18日日曜日

エコビレッジの人間関係

エコ・ビレッジの大きな特徴であり、会社や行政機関などの組織との大きな違いは、関わる人びとの関係性である。共通した価値観と強い人間関係で結ばれた共同体であること、生活上のいろいろな決めごとについては、各々の住民が参加して決め、ともに責任をもつ点はどのコミュニティでも基本的に同じだ。

利潤追求のような使命もなく、契約やヒエラルキーもないグループでは、コミュニケーションや意思決定システムがとても重要になってくる。エコ・ビレッジを運営していくためのキーだと言っても過言ではないだろう。

根強い縦型社会の中で育ち、自己主張や議論自体に消極的な日本人は、互いの意見をぶつけあい、それぞれの違いを認めながら合意形成を進めていくという参加型の意志決定を苦手としがちだ。協調性には優れているが、強いリーダーや細かなルールがないと、たちまちものごとが進まなくなる、という弱点も持っている。

しかし、経験豊かなヨーロッパ人だって、人間関係や合意形成の難しさは基本的にはそう変わらないようだ。コミュニティの住民はみな「トライ・アンド・エラー(試行錯誤)」だと強調する。


環境問題や平和問題では意気投合しても、「ペットのこと、台所の使い方、子どものしつけについて」日常生活で議論となるテーマはたくさんある。コミュニケーションの難しさから、共同の作業や施設を維持していくことができなくなったというところもあった。情熱と勢いでスタートした頃と、10年経過したコミュニティでは、個人を取り巻く事情も変わるだろう。

もちろん、国によって集団によって、スタ イルはかなり異なる。
住民の中にはいわゆるヒッピーや運動家タイプもいるが、「よりよい子育て環境」や「安全で美しい住処」を求めてやってきた「ごく普通の人びと」もたくさんいる。

独断だが、ドイツやオランダのコミュニティと比べて、イギリス人のグループはルールを嫌い、フレキシブルで自由な関係性を求める傾向が強いと感じた。
集団運営のために一定のコミットメントが必要だということは了解事項でも、あまり強固な関係性は敬遠されるようだ。

ごく普通の人びとがプライバシーと共同生活のバランスをとりながら、より合理的で安心快適な生活のために集まって住むことを求めている。できるだけ多くの人が参加できるためには、間口は広く敷居は低いほうがよい。たくさん集まれば環境面、経済面のスケールメリットも大きい。日本でも、おそらくこのタイプが好まれるだろうと予想される。

しかし、どんなスタイルのコミュニティを営むにしても、十分なコミュニケーションや主体的な参加が不可欠であることを忘れてはいけない。
他人任せの住民がおいしいところだけ求めて集まっても、結局長続きしないだろうから。

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