2007年11月16日金曜日

エコビレッジ訪問記ドイツ3

夕食のテーブルで隣に座ったミラーが、ここの集団運営について興味深い話をしてくれた。
「衝突?もちろんあるよ。衝突は集団生活につきもの。それを否定したり避けてはいけない。むしろ全体でシェアし、よりよい方法で解決することで強いコミュニティになっていくと思っている。」


なるほど。衝突を恐れないというのは日本人の一番弱そうな部分だが、それを克服してこそ強いコミュニティになるというのはもっともな話だ。

「外の社会では、ヒエラルキーや建前があってなかなか本音を出せない。でも表面的な人間関係では、エコビレッジの運営は決してうまくいかないんだ。ここでは1年に1回の集中ミーティング(7時間×7日間)を通じて、ネガティブな感情も含めて全住民でシェアしようと心がけている。もちろんたくさん表現する人もなかなかできない人もいるよ。でも、それは他人のためではなく自分自身のためにすることなので、あまり重要なことではない。終った後は自分の中がすべてきれいになった気分で嬉しくなるよ」

うーん、これはなかなか大変そうだ。話したことで関係がまずくなったり自己嫌悪に陥ったりしないのだろうか。翌日エリカに再度質問してみる。

「上手に話し合いができるよう、いろいろな工夫や練習も必要よ。ワークショップの研修を受けたり、外部ZEGGという別のエコビレッジから)ファシリテーターを招いたり。集中ミーティングではきわめて個人的な問題から、全体に関することまでいろいろなテーマが話し合われるの。話したくないときは話さなくてもいいのよ。でも、トレーニングを重ねて自己開発をしていくことも目的なの。ときどき疲れることもあるけど、集団のコミュニケーションを円滑にしていくために、とても大切なことだと思っているわ」

仮に技術や法制度、資金など必要な条件すべてそろっても、エコビレッジが生活空間であること、担い手が常に住民であることを考えると、内部コミュニケーションをいかに上手にはかっていくかが健全でサスティナブルな組織運営の鍵なのだろう。二人の話を聞いて強くそう感じた。

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