2007年11月18日日曜日

エコビレッジ訪問 スコットランド1

フィンドホーンは、英国はもとよりヨーロッパのエコビレッジネットワークを牽引している有数のコミュニティで、国連と連携しているNGOとしても知られている。

1963年、創始者の3人がキャラバンパークに移り住んで以来、変遷を重ね、1983年から本格的な環境共生型コミュニティに着手する。エコ建築、再生可能エネルギー、生物学的汚水浄化施設(リビングマシーン)、自然農法による食糧生産など環境に配慮したライフスタイルの基礎を構築するとともに、40以上のコミュニティビジネスを起業。また、世界的な成人教育、特にスピリチュアル研修の場として、年間万人を超える受講者が滞在しながら学んでいる。

敷地内を歩くと、キャラバンやユルタのようなシンプルな家から、大きくておしゃれな近代的な住宅までいろいろな建物が緑に囲まれて建てられている。デザインがあまりに多様なので、一見、何でも自由に建設できるかのように見えるが、実はさまざまなルールがある。

まず、住宅建築にはいくつかの財団の関連会社が建設した住宅を購入するケースと、土地所有者が建築ガイドラインに沿って建築する場合とがある。また、家を建築もしくは購入する人は、コミュニティに積極的に参加するか少なくとも目的に賛同する必要があること、土地を売ろうとする地権者はその責任において必ずすべての購入者がコミュニティの一員となることを保証しなければならないなどの条件がある。なお、土地売買手続には財団の土地販売グループが関わるようになっているので、勝手な売買は認められない。

そのほかガイドラインには、伐木、植林、フェンスや壁の設置、拡張や外構の改変にはコミュニティの承認が必要なこと、省エネルギーや高い断熱レベル、資材の選定などエコロジーに配慮した項目が定められている。

フィールドオブドリームと呼ばれる新しい住宅地には、規模も大きく瀟洒な外観の家がいくつもある。ヘンリーはフィンドホーンに住んで6年になるが、最近この中の一軒に引っ越してきた。ここではリビングマシーンの管理を担当している。家の中を案内してもらったが、建築雑誌に出てくるようなサンルームや吹き抜け、美しい家具調度のならぶリビングにびっくり。単身者の彼にこの家は広すぎるので、部屋を間貸ししたり、メディテーションやマッサージルームとして使っているらしい。暖房やソーラーパネルについての質問には、残念ながら適当な回答は得られなかった。

ジミーは、仕事として敷地内の住宅工事を請け負っている。昼休みに工事中の建物を見学させてもらった。エコ建築やコミュニティ参加へのルールについて聞いてみたところ「ガイドラインはあるけど、あくまでも努力目標ってとこじゃないかな。悪いけど、僕はこれをエコ建築とは呼ばないね。コミュニティへの貢献?僕らに仕事をくれることじゃないの」となかなか辛らつだ。

どうやら彼の施主は、エコロジーやコミュニティにあまり熱心ではないらしい。経過については定かではないが、外国産の材料や再生不可能な資材を多用していることが主な批判の理由のようだった。ジミーの施工している住宅が例外的ケースなのか、あるいは一般的な問題なのか私にはまったく判断できない。ただ、コミュニティの規模が大きくなり、メンバーの入れ替わりが進むにつれ、目標の共有やルールの徹底が難しくなるのは想像に難くない。

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